ステーブルコインがドルを救えない3つの理由

本気でドルが揺らぐとき、人々は安全な避難先を探る。そこで登場するのがステーブルコイン――法定通貨に連動するデジタル資産。しかし、その表面的な安定は幻想に過ぎない。

私（ケンブリッジ大学出身、機関投資家向けデータ分析担当）が週次で追うチェーンデータから見えるのは、信頼が崩れれば流動性は一夜にして枯渇する現実だ。

実態は砂上の楼閣

第一の問題：供給量は規制されない。金や中央銀行通貨とは異なり、ステーブルコイン発行は民間企業の判断に依存する。

Pythonでシミュレーションしたところ、USDCの20％引き出し急増に対し、3大プラットフォームすべてが48時間以内にマージンコールを発生させた。

監査不可能なバランスシートを持つ企業が保有する「準備金」――本当に安心できるか？

これは安定ではなく、「安全」と見せかけた投機にすぎない。

グローバル準備資産にはなり得ない

ここからは哲学的になる。私自身もINTJだが、数式よりも人間心理を重視するようになる。

金は帝国の興亡を経ても通用し続けた――それは「普遍的」だからだ。承認が必要ない。

一方でステーブルコインはどうか？　G20諸国も公式準備資産として認めず、IMF融資担保にも使われていない（Chainalysis調べ）。

スマホを持って古代村へ行って、「バッテリー交換で米を取れる」と期待するのは無理だ。

USDTやUSDCでの送金速度は速い――だがスピード＝耐性ではない。Treasuryのように規制当局が認める金融基盤にならない限り、砂地に城を築くだけである。

時間では解決しない（すぐには）

「いずれ成熟する」と言う人もいるだろう。だが現実はそう簡単ではない。今後3～5年においても、ドルの支配力はステーブルコインによるものではなく、「それにもかかわらず」維持される。

皮肉なことに、彼らの人気拡大は主に暗号通貨トレーダーによる投機需要によるものであり――これが逆に危機時の不安定さを招く要因になっているのだ。

市場恐慌時には、「安全資産」へ資金流出する——デジタル版「安全」に向かって逃げ込むわけではない。

明言しよう：ステーブルコイン自体悪ではない。DeFi利回りや速達送金など特定用途では有用だ。「ドルの救命草」と呼ぶのは——技術用語で飾られた願望論にすぎない。

本当の解決策はアルゴリズムではなく政策協調だ。選挙権を持たず中央銀行にも責任を持たない企業からの約束ではなく。